寝言のこと。
適正価格。
私が社会人になって、
初めて担当させていただいたのは、
某業界の圧倒的なリーディングカンパニー。
当時、私が、所属していた企業の中でも、
一二を争う超重要クライアント。
営業を含め、数多くの先輩方が、
不夜城状態で、馬車馬のように、
対応していた大切なお得意先であった。
――――――――――――
価値があるものには、
お客様は、お金を払ってくださる。
どれだけ、デフレで、競合が値下げしようが、
世の中全体が、その風潮になろうが、
決してそれに同調した、安易な安売りだけはしない。
お客様は、飽きやすい。
今、売れている商品も、すぐに陳腐化する。
現状に満足することなく、
徹底的に、お客様にとって、価値あるものを追求し、
常に、提供し続けることが、大切である。
――――――――――――
という強い信念がある企業。
年齢が、なんとなくバレてしまうが、
社会人10年選手をとっくに過ぎた今でも、
強烈に、上記のフレーズを覚えている。
先日、年末の社内イベントに向け、
某オーナーさんと、その方のお店で、
営業時間前に、打ち合わせを行っていた。
そこに、飛び込んできたのは、
ひとりのサラリーマン。
どうやら、グルメ雑誌掲載に向けて、
これからオーナーさんと商談らしい。
「悪い、まだ時間大丈夫?ちょっと待ってて」
私に断りを入れた後、オーナーさんは、
彼とのミーティングに突入。
その空気を読んだかのように、
ほぼ同じタイミングで、
カバンにしまいこんだ、ケータイが鳴り出す。
電話に出ようと思った矢先、
背後から、聞こえてきた第一声は、
「○○さん(オーナーの名前)、値引きしませんか?」
続けて、
「今、クーポンがオススメですよ!」
はい、出ましたね、糞営業。
聞くところによると、
お店に、営業の電話がかかってきたのが、先週。
(しかも、店が最も忙しい時間帯に)。
その3日後(つまりこの日)に、
彼は初めて、この店にやってきたそう。
当然、この店のサービスを受けたこともなければ、
食事をとったこともない。
人口10,000人あたりに占める、
飲食店数日本ナンバーワンの沖縄県。
その競争も熾烈で、新しいお店が出来ては、
残念ながら、消えていくお店もある。
那覇空港を始め、ホテル、コンビニ、
レンタカー屋などの各チャネルは、
『沖縄グルメ』と謳った、ゴミにしかならない
チラシや無料誌で溢れかえり、
飲食店紹介本も、増えるいっぽう。
グルメサイトも乱立し、
観光ガイドブックも、毎年、発行。
ご丁寧にも、季節ごとに、新刊が刷られている。
当然、各社は、新しい情報を求め、新店ができると
我先に!と、飛び込みセールスを行い、
他社と差別化するため、『うちだけの何かをくれ』と
クライアント側に要求してくる。
そして、ほしがるのが “最安値” の称号。
高いものが、素晴らしいと言うわけではない。
クーポン自体が、悪いと言っているわけでもない。
「お値段以上、○○ ♪」ならぬ、企業努力は必要。
ただ、大切なのは、
そのサービス・商品の価値に対して、如何に、
“適正な価格” でセールスすることに寄与できるか
だと思う。
それが、プロの腕の見せ所。
ましてや、そのサービスや商品を体験せずに、
盲目的に、安売りを助長するような媒体は、偽物。
その価値以下で、安く買うということは、
他の誰かの労働を軽視しているということ。
それは、ブラック企業の経営者と同じ発想。
そんな彼らが、言いがちなこと。
「この業界に貢献したい」
「沖縄県を元気にしたい」
極め付けが、
「私たちは、プロ集団です」
「コンサルは、お任せください」
おいおい、寝言は、寝てから言いなさい、糞営業。